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現在、以下のリンク切れがあります:2016年1-3月のプレスリリース・報道関係各位一斉メール・日報、2014年3月以前の動画、滞留水のPDF資料、2012年のプレスリリースの一部。2012年のプラントパラメータ関連の一部。詳細はこちら。

2013年7月22日(月)

今日のお仕事


福島第一原子力発電所の状況(記者会見資料)(PDF 24.7KB)

プラント関連パラメータ(PDF) 午前5時時点 午前11時時点

1号機T/B地下たまり水移送、昨日21日から停止中。

2号機S/Cからの水素追い出し実験(19日参照)のため、格納容器への窒素ガス封入を10:10に開始。
2号機T/B地下たまり水移送、15日から継続していたが09:33に停止。

3号機T/B地下たまり水移送、17日から継続していたが09:20に停止。

4号機使用済燃料プール代替循環冷却装置、計器の定期点検のため06:49に停止。停止時間は約34時間(明日23日まで)を予定。停止時のプール水温は29℃、停止時のプール水温上昇率評価値は0.333度/h、停止中のプール水温上昇は約12度の見込み(運転上の制限値は65℃)。
4号機T/B地下たまり水移送、2012年11月29日から停止中。

6号機T/B地下たまり水移送、実施せず。

水処理装置、キュリオンセシウム吸着装置、17日から停止中。
水処理装置、SARRY、5月28日から運転中。フィルター洗浄のため07:30-17:37に停止。起動後17:51に定常流量に到達。
多核種除去設備ALPSのホット試験、A系(3月30日-)とB系(6月13日-)で実施中だが、A系はバッチ処理タンクの漏えいで6月16日から停止中

05:00頃、RO膜型淡水化装置RO3スキッド1の高圧ポンプ付近で油が漏えいしていることを作業者が発見。
福島第一原子力発電所淡水化装置(RO3)からの油漏れについて(PDF 159KB)
当該ポンプを停止し、漏えいが停止していることを確認。漏えいした油は潤滑油で、漏えい量は約8Lで、堰のあるコンクリート床面にとどまっている。05:45に富岡消防署へ連絡。漏えいした油は、11:30頃拭き取りを完了。
当該のポンプはプランジャータイプのもので、クランクケースの中でクランク軸がまわり、コンロッドを介してピストンを動かして水を送る。このクランクケースの中に入っている潤滑油が劣化したためにポンプ駆動部が発熱し、潤滑油の給油キャップと油ゲージが熱により変形して中の油が漏れたものと判明。当該ポンプは交換。他のスキッドの同形のポンプは潤滑油を交換して試運転を実施。今後、潤滑油の交換時期を適切に実施する。
福島第一原子力発電所淡水化装置3(RO-3-1)からの油漏れについて (報道関係各位一斉メール)

地下貯水槽からの漏えいの件。
No.1、No.2、No.3の漏えい検知孔水をくみ上げてノッチタンクへ移送。
No.1、No.2のドレン孔水をくみ上げてそれぞれの貯水槽へ還流。
No.2の残水希釈のため、約60m3のろ過水を注水。

T/B東側の観測孔で50万Bq/Lのトリチウムが検出された件(6月19日参照)
海側地下水および海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策(PDF 1.42MB)
観測孔No.1、2、3の地下水位の観測値を潮位変動と比べると(PDF資料15、16頁)、地下水位がほぼ遅滞無く潮位変動に追随して20cm程度上下している事が分かる。また、降雨により地下水位が急に上昇し、その後だらだらと低下していく様子が見られる(17頁。雨が地面にしみ込んで地下水となり、それが海へとしみ出していく)。これらのことから、1-4号機海側の護岸の地下水と護岸前面の1-4号機取水口開渠内の海水は、互いに行き来していることが分かった。
今までの調査により明らかになっている事をまとめると、以下の通り:護岸周辺の地下水は汚染されている。汚染源としては、2011年4月の2号機取水口付近からの漏えいの際に、ケーブル管路下の砕石層に漏れ出た高濃度汚染水が支配的であると考えている(観測孔No.1-2の汚染濃度が高いので。下記参照)。観測孔No.1-3は1-2よりは濃度が低いがここも汚染されている原因としては、2号機取水口付近で砕石層に漏れた高濃度汚染水が分岐トレンチの下の砕石層を通じて観測孔No.1-3近くまで流れてきた可能性(9、10、12頁)を考えているが、より上流の海水配管トレンチなどからの漏えいを否定するものではない。
海水中の放射能濃度を見ると、1-4号機取水口開渠内は比較的高い濃度だが、開渠の外の港湾内ではNDレベルから数Bq/L程度、沖合ではNDであり、汚染の影響はほぼ1-4号機取水口開渠内にとどまっている(22-23頁)。そのなかで、1-4号機取水口北側の海水はトリチウムが5月中旬以降に上昇し最高で2,300Bq/Lとなった(その後は増減をくり返し上昇傾向は無い)が、この場所は海側遮水壁に囲まれつつあり、海水の流れが妨げられている影響である可能性もある。
以上のこれまでの調査結果と、護岸での地下水-海水の行き来をあわせて考え、以下のように結論する:護岸周辺の汚染された地下水が降雨や潮位変動により海へと拡散している。これによる海水中の放射能濃度への影響(濃度の上昇、または低下しない状態)は1-4号機取水口開渠内にほぼ限定されている。この事象は護岸周辺の地下水が汚染された時期から始まっている(去年12月時点では確認されなかった汚染が今年5月に確認されたので、その間のいつかではあるが、時期を特定するデータは無い)。この時期の前後で、海水のモニタリングの状況は1-4号機取水口北側以外に変化が無く、1-4号機取水口北側も頭打ちで上昇傾向が継続していないことから、護岸地下水の拡散による海水への汚染の影響は限定的であると考える。ただし、海に出た放射能量などの定量的な評価は現在行っており、まだ結論は出ていない。
汚染源が2号機取水口での漏えいであると推定する理由:観測孔No.1-2のボーリングコアの線量を測定した(13頁)。γ線(Csを見ている)では地表からの深さが2.5mおよび4mのあたりに二つの狭いピークが見られる。γ+β線(γ線よりもずっと大きいので、ほぼβ線、すなわちSrを見ている)では深さ1mから7.5mにわたって広い分布が見られる。他の追加の観測孔のボーリングコア(1-1、1-3、1-4)ではバックグラウンドレベルを超える線量は検出されなかった。観測孔の地下水の分析結果を並べると(14頁)、137Csは1-2が高く、その他はほぼ同じレベル。全β(Sr)は1-2と1-3が高く、その他は低い。トリチウムは1とその周辺が全体に高く、2と3は低い。これらのことから、Csは水平方向にも深さ方向にも広がりが局限されていること、それに対してトリチウムは広がりやすく、Srはその中間である事がわかる。観測孔No.1-2で広がりにくいCsとSrの濃度が一番高い事から、ここが汚染源に一番近い事が推察される。
対策として、以下のものを考えている(45頁にまとめ):
・薬液注入による地盤改良(26-28頁)。現在おこなっている1-2号機間にくわえて、2-3号機間、3-4号機間も実施する。1-2号機間の進捗は、20日の時点で海側117本のうち75本まで完了。海側の列が25日頃、山側の列が8月10日頃に完成予定で、従来の予定より遅れている。なお、1-2号機間は工事中の護岸背面の列を延長して山側までぐるっと囲ってしまい、地下水の拡散を防ぐ。また、囲い込んだ場所に雨水が侵入しないように地表にアスファルト舗装によるフェイシングを施す。
・分岐トレンチ(電源ケーブルトレンチ、管路など)の水抜きと閉塞を10月末頃までに実施(29ー34頁)。
・主トレンチ(海水配管トレンチ)内の汚染水浄化(35-39頁)。モバイル式の浄化装置を導入してトレンチ内の汚染水を浄化する(9月開始目途)。また、汚染水を既存の水処理装置(キュリオン、SARRY)へ移送するラインを設置する(9月完了目途)。
・主トレンチ(海水配管トレンチ)内の排水と閉塞(40-44頁)。T/Bとの接合部を遮断して水抜きをする計画。技術的な課題の成立性を確認して適用可否を判断する。
・海側遮水壁。来年H26年9月に完成予定。これによりさらに高い遮水性能を確保する。
このようなことになり、多くの方々、特に福島の方々に大変なご心配をおかけしていることについて深くお詫びしたい。2011年4月の漏えいの後に汚染拡大防止のためにトレンチのピット等の閉塞を精力的に行ったが、結果としてこのような事態に至ってしまった。
観測孔No.1、2、3は、もともと海側遮水壁の地下水への影響を見るために作ったものであり、地下水位を連続してモニターする機能があったが、このデータの存在を護岸地下水汚染について対応している部署が把握していなかった。追加の観測孔の地下水位は手動で測っている。会見で質問があったため調査したところ、17日に地下水位データの存在を確認、18日に社内で共有して規制委に報告(追加の観測孔のデータのみ)、その後すべてのデータを取りまとめて今日の報告となった。ここら辺の時系列は26日の原子力改革監視委員会の試料にまとめられている。
福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 15.7KB)
観測孔No.3-1はすでに掘削が終わっているが、中の水が澄んでこないので採取を見合わせている。
モニタリングの結果をスプレッドシートにまとめました→トリチウム、 全β90Sr
134Cs137Cs
18日に規制委に報告した際の資料はこれ(規制委のHPより)。
資料【PDF:4.4MB】
今日の資料のロングバージョン(ただし、観測孔No.1、2、3の地下水位データは無い)。


その他


2号機取水電源ケーブルトレンチと3号機立坑Aのたまり水分析結果。
福島第一原子力発電所2号機取水電源ケーブルトレンチおよび3号機立坑サンプリング調査結果(続報:トリチウム分析結果)(PDF 137KB)
トリチウムの結果が出た。2号機の方は1.2×102Bq/cm3、3号機の方は深さ1mで1.2×104Bq/cm3、より深いところはやや低い。

4号機燃料取出し用カバーの進捗。
福島第一原子力発電所4号機燃料取り出し用カバー外壁・屋根の外装パネルの設置完了について(PDF 270KB)
外壁と屋根の外装パネルの設置を4月1日からおこなっていたが、20日に完了した。カバー内の設備(天井クレーン、燃料取扱機)は13日にすべて吊り込みを完了し、現在組み立て作業中。

2号機R/B1階高所調査(STEP2)を高所調査用ロボットで明日23日に実施する。
福島第一原子力発電所2号機 原子炉建屋 1階高所PCV貫通部周辺の調査(STEP2)について(PDF 146KB)
STEP1(開けた場所でアームを伸ばして調査)を6月18日に実施。STEP2では狭隘な場所へアームを操作してアプローチする(6月17日参照)。南西エリアで格納容器貫通部周辺の調査を実施する予定。

20日に実施した3号機オペフロの赤外線サーモグラフィー測定の結果。
福島第一原子力発電所3号機 原子炉建屋上部 赤外線サーモグラフィ測定について(PDF 63.6KB)
詳細は20日に記載。

7月5日に報告した被ばく線量再評価で、数字の訂正と補足の説明
甲状腺等価線量の算出対象について(PDF 27.6KB)
26分過ぎに解説。



ニコ生
【7/22・17:30開始】東京電力 記者会見

文字起こし、実況など
政府・東京電力 統合対策室 合同記者会見: 東電会見 2013.7.22(月)17時30分 ~


おまけ


(24日追記)この日、複数の記者から「話がよく分からない。海に漏れてるのか漏れてないのかはっきりしろ」という指摘あり。そんなに難しい話でもないと思うんだけれど、「漏れてます」って言ってもらわないと自信が無いんだろうか。
だいたい、この日の話で明らかになったのは「護岸の地下水と護岸前面の海水が行き来している」ということだけ。海水に放射性物質が流出している事は1-4号機取水口北側の海水のトリチウム濃度が上昇した事からすでに明らかなわけで、その時には「汚染が流出」って断言する記事なんか見かけなかったのに、今さら何言ってんだろ。地下水が漏れてると大騒ぎで、フォールアウトが流れ込んでるのは問題じゃないのか。
最も重要なのは漏れてる/漏れてないじゃなくて、どれだけ漏れてるかだと思うのですよ。だって、1Bqでも許さないって言うんなら、そんなのフォールアウトの流れ込みだけですでにダメじゃん。問題はそうじゃなくて、どれだけの量が海に流れ込んでいるのか。さらに言えば、海洋環境(海水や海底土の汚染の程度、魚介類の放射能濃度など)にどれだけの影響を与えているのか、それは人間生活にどう影響するのか、ということが問題なんだと思うんですけれど。で、そういう問題を評価するための主要なパラメータが海水中の放射能濃度ならば、港湾外の海水ではずっと低いレベルが続いているわけで、この点は今日の話の前と後で何も変わっていない。
多くの取材者が漏れてる/漏れてないにこだわっていて、それは多分、"地下水が"漏れてる/漏れてないということなんだろうけれど、なんでそうなんだろうか。フォールアウトの流れ込みは気にならないのに、地下水のそれは許せない。量は問わない。それで、なにを言うつもりなんだろう。10日の会見で、地下水をろ過してみたらCs濃度が下がったって話の時に「ろ過残渣なんて些末な事だ。漏れてる原因なんてどうでも良い。本質は漏れてるか漏れてないかだ」なんて言った人もいたような。
東電の説明は厳密に正しくまぎれ無い表現をキリキリと詰めている感じがして私は好きなんだけれど、それは複雑な現実を複雑なまま提示することになるわけで、それが「分からん、けしからん」という感想を生むんだろうか。そうだとすれば、マスメディアは我々に一体何を伝えようとしているのだろう。


(26日追記)1-4号機取水口北側の海水のトリチウム濃度の上昇について「地下水が漏れてるんじゃないの」と問う取材者はいた。それに対する東電の答えは「地下水が漏れているかどうかはまだ分からない。降雨と海水の濃度の関係から、フォールアウトが雨水に流されて来ているのかもしれない」というものだった。で、こう言われると、みんなそこで追求するのをやめちゃったんだよ。それはつまり、地下水が漏れてたらだめだけれど、フォールアウトの流れ込みならOKってことだよね。なんで?出どころがどこだって、海に放射性物質が流れ込んでいることに変わりはないのに。東電が海への流出についてはっきり言わないのは大人の事情があるんだろうと思っていたけれど、取材者がそこんところがあいまいなのも、その大人の事情を共有しているのかと思っていましたよ。でもそうじゃなかった。海に汚染が広がっているかどうかなんてどうでもいい事で、要するに地下水(=いわゆる汚染水)が漏れている(つまり、東電がやるべきことをやっていなかった)、ということに価値があったらしい、というのが上に書いた話。

低線量放射線被曝の健康への影響について専門家が詳しく説明すると「要するに安全なのか危険なのか、はっきりしてくれ」って言われちゃうらしいけれど、これと同じなのかもしれない。状況について正しい解説をしようとすると、どうしても話は複雑になる。それを理解しようとしたら、聞き手はそれなりに自分で考える必要があるわけだけれど、それは骨の折れる事でもある。落ち度の無い被害者の人がその骨折りを強要される理由なんか無いと思うけれど、取材者ってのはそれが仕事なんじゃん。そこでがんばらないっていうのはどうなのよ。
がんばらないだけじゃなくて、実際に内容が理解できてない人が、実は結構いるのかもしれない。確実に言える事、可能性は高いけれど100%ではない事、可能性は小さいけれど排除できない事、絶対にあり得ない事、などなど、いろんなレベルのことがあると思うんだけれど、そういうのの違いがきちんと区別できてないとか、ある可能性が挙がるとすぐにそれできまりだって思い込んじゃうとか。たとえば、海水配管トレンチの水抜きをやるって話になってるけど、これを聞いて、対策をとるのはそれが原因だからだと考えて「護岸地下水の汚染減は海水配管トレンチだ」って思ってる人がいるかもしれない。
人の認識能力っていうのは、取材者に限らず一般にそんなものなのかもしれない。そういう対象に向けて、複雑な事実を理解してもらうために、一体何をしていけばいいんだろう。

別に分かってもらわなくても問題ないなら一向にかまわないけれど、実際にはそうはいかない。たとえば、タンクにたまりつつある汚染水をどう扱っていくのか、どういう選択肢があってそれぞれのリスクはどうなのか。そういうのは十分に複雑な話なのであって、それを理解して判断していかなければ、そう遠くない時期に状況は破綻を迎えてしまう。関係者の理解を得なければ海洋放出は無い、と言うならば、関係者に状況を理解してもらってどうするのか判断してもらわないと前に進めない。そのために、何をしたらいいのか、どうしたらいいのか。



(11月28日追記)時間が経つと分からなくなっちゃうかもなので書いとくけど、上に書いてある「大人の事情」っていうのは、地下水バイパスのこと。たまり続ける汚染水処理水の増加を抑制するために設置された地下水バイパスだけれど、今日(11月28日)の時点でも稼働していない。地下水バイパスというのは、原子炉建屋やタービン建屋の地下に流れ込む地下水の量を減らすために、地下水を流れの上流側(山側)でくみ上げて海に放出するというもの。建屋の上流でくみ上げてしまうので、地下水の放射能濃度は周辺の河川水と変わらない。ところが、この地下水の放出に地元の漁連がOKを出さない。実質的な影響がなくても風評被害を惹起する恐れがある、というのが理由。設備は5月には稼働可能な状態にあったのだけれど、そういうわけで当時も動いていなかった。その上に汚染水が海洋に流出していることが分かったとなれば、漁業関係者の態度がさらに硬化することが予想されるわけで、この件についてどういう形で公表するのかというのは頭の痛い話だったのではないか、というのが大人の事情。で、いまだに地下水バイパスは動いてないのだけれど、もうみんなこの設備のことなんか忘れてるのかもね。10月31日のロードマップ進捗報告の中でタンクシミュレーションの話があって、地下水バイパス動かさないとタンク足りなくなるよって結論だったけど、こういうのは報道されないんだよな。みなさん、どうするつもりなのかしら。

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